子育ての知恵ぶろぐ 第481回 「うちの子が変わってしまった」と慌てる前に

『うちの子が変わってしまった 』と慌てる前に今回は、
「うちの子が変わってしまった」
と感じたら読んでほしい話です。

素直だった子どもが、
急に口をきいてくれなくなった。

何を言っても「うるさい」「別に」
としか返ってこない。

親に対して聞くに堪えない言葉を
発する。

家の中の空気が、
いつもピリピリしている。

そんな時期を迎えている
ご家庭も多いのではないでしょうか。

今日は、
この「反抗期」という現象を、
少し違う角度から見つめ直してみたい
と思います。

子どもは壊れていない

反抗期に入った子どもを見て、
多くの親御さんが
「この子は変わってしまった」
「自分の育て方が
間違っていたのでは」
と自分を責めてしまいます。

けれど、これは子どもの人格が
悪くなったわけでも、
これまでの子育てが失敗したわけでも
ありません。

起きているのは、子どもが
これまで親に委ねてきた判断を、
少しずつ自分の手に取り戻そうと
しているということ。

いわば、
「自分のことは自分で決めたい」
という自立心が、
初めて本格的に動き出した
時期なのです。

反抗的な態度は「悪化」ではなく、
成長が新しい段階に入った
サイン
だと捉えると、
少し見え方が変わってきます。

反抗の正体は、境界線を探る試行錯誤

反抗期の子どもの言動が
親を戸惑わせるのは、
そこに一貫性がないように
見えるからです。

昨日は「もう口を出さないで」と
突き放したのに、
今日は平然と親を頼ってくる。

助言をすれば嫌がるのに、
本当に放っておかれると
不安そうな顔を見せる。

これは、わがままでも
二枚舌でもありません。

「自分の力で決めたい」
という気持ちと、
「まだ一人ではうまくいかないかも
しれない」という不安の間を、
行ったり来たりしているだけ
なのです。

部屋に無断で入られることを
極端に嫌がったり、
スマホの中身を詮索されるのを
拒んだりするのも、
同じ理由からくるものです。

自分だけの領域を持つこと自体が、
独立した一人の人間であることの
証明になっています。

親が一番やってはいけないこと

反抗期の親子げんかには、
ひとつの落とし穴があります。

それは、
本来話し合うべきだった内容が、
いつの間にか「どちらが正しいか」
「誰が上か」という力比べに
すり替わってしまうことです。

たとえば、子どもが
生意気な口をきいたときに、
「誰のおかげで生活できていると
思っているんだ」
と権威で押さえつけてしまうと、
その瞬間、話し合いは対話では
なくなります。

正論や権力で子どもを
黙らせることができても、
それは納得させたことには
なりません。

子どもは「この人に話しても無駄だ」
と感じ、静かに心を閉ざして
いきます。

叱ることで言うことを聞かせる
やり方は、子どもが親に
全面的に頼っていた時期までのもの。

自分の判断を持とうとしている
子どもに対しては、
力で勝とうとするほど、
対話の回路そのものが
壊れてしまいます。

「自由にさせる」と「放っておく」は違う

かといって、一切口を出さずに
任せきりにすればいいわけでも
ありません。

判断材料も安全網もないまま
自由だけを渡してしまうのは、
自律の支援ではなく、
ただの放置です。

大切なのは、家庭の中の決めごとを
整理すること。

・本人が決めていい領域
 (勉強のスケジュールなど)

・親が決める領域
 (家庭のルールなど)

・一緒に話し合って決める領域
 (進路など)

・命や安全に関わり、
 親が必ず関わる領域

この線引きを持ったうえで、
本人が決める領域については、
親は意見を伝えることはあっても、
最終的な決定はくつがえさない。

「私はこう思う。でも決めるのは
あなただよ」という姿勢が、
子どもの自律を支える土台に
なります。

伝え方も工夫のしどころです。

「勉強しなさい」という命令形は
反発を招きやすい一方、
「今日はどれくらいやる予定?」
という問いかけの形は、
本人の判断を尋ねるものとして
受け止められやすくなります。

ただし、何でも許していいわけではない

自立のための試行錯誤は、
大いに応援すべきものです。

ただ、態度が悪くなることと、
他人を傷つけたり
物を壊したりすることは、
まったく別の話です。

後者は「反抗期だから」で
見過ごしてはいけません。

また、
「お兄ちゃんはできていたのに」
というような比較の言葉は、
子どもにとって存在そのものを
否定されたに等しい痛みになります。

反抗そのものよりも
深く長く残る傷になりかねません。

反対に、「何を言っても無駄だ」
と完全に関わりをやめてしまうのも
危険
です。

境界線を尊重することと、
存在を無視することは、
まったく違います。

実は、親も変化を求められている

反抗期というと
子どもの変化にばかり
目が向きますが、
実は親の側にも、
これまでのやり方を手放す時期が
来ています。

小学生の頃までは、
親が指示を出せば子どもが
その通りに動くという関係が、
とても心地よく機能していました。

その成功体験があるからこそ、
中学生・高校生になっても、
つい同じやり方を
続けてしまいがちです。

けれど子どもの側は、
すでに自分で考えて動く段階に
移っています。

かっとなりそうな瞬間に
少し間を置く。

会話が減った時期こそ、
並んで同じものを見るような、
向き合わない形の時間を大切にする。

返事がなくても、
食事の用意など日々のサポートは
淡々と続ける。

そうした小さな積み重ねが、
「いつでも戻ってきていい
場所がある」
というメッセージとして、
子どもに静かに届いていきます。

更新すべきは「親と子の関係のあり方」

反抗期は、子どもが壊れた時期
ではありません。

「親がすべて決め、
子どもがそれに従う」という、
幼い頃に結ばれた関係のルールが、
そのままでは合わなくなってきた
だけです。

子どもが求めているのは、
親との断絶ではなく、
より対等な新しい関係です。

褒める・叱るという
上下関係の言葉から、
「助かった」「これをお願いできる?」
という、対等な依頼や感謝の言葉へ。

そうした少しずつの変化が、
親子の関係を組み替えていきます。

反抗という嵐の先には、
必ず穏やかな時間が待っています。

恐れずに、親子の関係を
少しずつ更新していきましょう。

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