子育ての知恵ぶろぐ 第464回 愛情の「過干渉」が招く危険とは?
2013年、アメリカ・テキサス州で
起きた事件をご存知でしょうか。
当時16歳の少年が飲酒運転で
ピックアップトラックを暴走させ、
歩行者の列に突っ込み、
4人の命を奪いました。
少年の血中アルコール濃度は、
法定上限の3倍近くに
達していました。
検察は禁錮20年を求刑しましたが、
裁判で心理学者が証言しました。
「この少年は
『アフルエンザ(金満病)』を
患っている。
富豪の両親のもとで育ち、
自分の行動がもたらす結果を
理解できない状態にある」
信じられないことに、
少年には実刑が下されず、
精神衛生治療と保護観察処分という
軽い刑で済まされたのです。
この判決に、アメリカ中が
激怒しました。
4人の命が奪われたのに、
「お金持ちの家の子だから」
という理由で、適切な刑罰を
受けなかった——。
これが、
過保護と過干渉がもたらした、
取り返しのつかない結果です。
この「アフルエンザ(affluenza)」
という言葉は、
「裕福(affluence)」と
「インフルエンザ(influenza)」を
組み合わせた造語で、
今アメリカの富裕層の子どもたちの間に
蔓延している深刻な問題です。
そして、この問題は
決してアメリカだけのものでは
ありません。
日本でも、同じような危険が
静かに広がっています。
私たち親は、
子どもに幸せになってほしい、
苦労させたくないという
純粋な愛情から、つい先回りして
道を整えてしまいがちです。
しかし、それが子どもから
「自分で考え、自分で責任を取る力」
を奪ってしまうのです。
●過干渉が生み出す「5つの危険信号」
1. 責任感の欠如
親が何でもやってあげると、子どもは
「自分で何もしなくても大丈夫」
と学習してしまいます。
そして、自分の行動がもたらす結果を
想像できなくなります。
テキサスの事件の少年のように、
「人の命を奪うような行為でさえ、
その重大さを理解できない人間」
になってしまう危険があります。
2. 他者への思いやりの欠如
常に自分が中心で、欲しいものが
何でも手に入る環境で育つと、
他人の気持ちや痛みを
理解できなくなります。
友人関係や将来の人間関係に
深刻な影響を及ぼします。
3. 金銭感覚の麻痺
お金で何でも解決できると
学んだ子どもは、
「お金で人を支配できる」
「お金があれば何をしても許される」
という歪んだ価値観を持つように
なります。
本当の豊かさや幸福が何かを
理解できなくなってしまいます。
4. 自己肯定感の低下
皮肉なことに、何不自由ない
環境で育った子どもほど、
「自分の力で何かを成し遂げた」
という経験がないため、
深刻な自己肯定感の低下に
悩むことがあります。
5. 困難に立ち向かう力の喪失
失敗や挫折から
遠ざけられて育った子どもは、
人生で避けられない
困難に直面したとき、
どう対処していいかわからず、
簡単に心が折れてしまいます。
本当の愛情とは「見守る勇気」
専門家たちは、こう指摘しています。
– 「小さな失敗を経験させること」
が、子どもの成長には不可欠
– 「自分で考え、決断し、その結果を
受け止める」経験こそが、
真の自立につながる
– 「お金や物で解決しない」
時間こそが、親子の絆を深める
– 「「ノー」と言える親」こそが、
子どもの人格形成に責任を持つ親
テキサスの事件で亡くなった
4人の方々は、
もう二度と戻ってきません。
少年の両親は、おそらく
一生後悔し続けることでしょう。
「あのとき、もっと厳しく育てていれば」
と。
私たち親にできる最高の愛情表現は、
子どもを信じて、
少し後ろから見守ることかも
しれません。
●今日から始められる4つのこと
1. 「子どもに小さな責任を与える」
年齢に応じた家事や役割を任せ、
最後までやり遂げる経験をさせる
2. 「すぐに助けを出さない」
子どもが困っているとき、
すぐに手を出すのではなく、
まず「どうしたらいいと思う?」
と考えさせる
3. 「お金で解決しない時間を作る」
一緒に料理を作る、公園を散歩する、
図書館で本を読むなど、
お金を使わない豊かな時間を
共有する
4. 「『ダメなものはダメ』と伝える
勇気を持つ」
子どもが泣いても、おねだりしても、
いけないことはいけないと
一貫した態度で示す
子どもへの愛情は、
何でもしてあげることでは
ありません。
子どもが自分の足で立ち、
自分の力で人生を
切り開いていけるように、
そして「自分の行動に責任を持てる
人間に育つよう」、適度な距離を
保ちながら見守ることです。
「転ばぬ先の杖を与えるのではなく、
転んでも立ち上がれる強さを
育てること。」
「そして、自分の行動が
他者にどんな影響を与えるかを
理解できる、思いやりのある
人間に育てること。」
それこそが、親から子どもへの
最高の贈り物ではないでしょうか。
テキサスの悲劇を、
決して他人事にしてはいけません。
過保護と過干渉は、
時として取り返しのつかない結果を
招くのです。
子育てに正解はありませんが、
私たち親自身も学び、
成長していきたいものです。
一緒に考えていきましょう。






