子育ての知恵ぶろぐ 第268回 幼児からの「スマホ(デジタル)依存」は大変危険!

幼児からの「スマホ(デジタル)依存」は大変危険
教育大国スウェーデンを震撼させた
「警告の書」である『スマホ脳』
アンデシュ・ハンセン著(新潮社)が
昨年11月に日本でも発刊されました。

2017年10月に、
ここ20年間のインターネット使用習慣を
調べた過去最大の調査
『スウェーデンとインターネット』によれば、
乳児(月齢12ヵ月まで)の4人に1人が
インターネットを使い、
2歳児は半数以上が毎日、
学齢期以上になるとほぼ100%の子どもが
インターネットを毎日使っています。

英国の調査でも
子どもとティーンエイジャーは
毎日6時間半(90年代は3時間)、
米国のティーンエイジャーは
毎日9時間インターネットに
費やしています。

1日2時間以上のスクリーンタイムは
うつのリスクを高める
と言われており、
スマホ登場後スウェーデンでは
抗うつ剤使用者が9人に1人まで増加し、
睡眠障害も10年で5倍、20年で8倍に
増えています。

基本的に人間の脳は新しい知識を
歓迎するように作られており、
スマホはのべつまくなしに大量の刺激を
脳に与えます。

「新しいもの」に出会うと
脳の「報酬システム」は勝手に作動し
ドーパミンを放出させます。

この動作が繰り返されると、
脳は更なる刺激を求め、
スマホの虜になってしまうのです。

SNSやアプリの開発者は
このような人間の脳の性質を利用して、
少しでも注目を集め、
滞在時間を長くしようとしています。

脳科学者の茂木健一氏も
「特に判断力の未熟な子どもほど
脳をハッキングするようなアプリや動画に
容易に乗っ取られやすい」
と言っています。

5,000人以上のある調査では、
リアルな人間関係に時間を使う人ほど
幸福感が増し、SNSを使う人ほど
人生に対する満足度が低くなる
ということです。

スマホだけでなくデジタル機器全般が
記憶力に悪影響を与えているという
研究もあります。

二つの大学生のグループに同じ講義を聴かせ、
片方のグループは自分のパソコンを持参させ、
もう片方のグループには禁止をすると
パソコンを持参したグループの学生たちは
講義の内容を禁止した学生たちよりも
覚えていませんでした。

また、講義中に
紙とペンでノートを取らせた学生たちと
パソコンでノートを取らせた学生たちとでは、
紙に書いた学生たちの方が内容をよく理解し、
主旨をよりよく理解できていた
のです。

ある研究チームは、
「スマホを使いながらの学習だと、
複数のメカニズムが妨げられる」
と結論付けました。

こうした結論を受けて、
英国ではいくつかの学校でスマホの使用を
禁止しています。

禁止した結果、成績が上昇しました。

ところが、
日本では真逆の方向に進みつつあります。

平井卓也デジタル改革担当相が
萩生田文科相にこのような提案を
しています。

「小中学校で使う教科書を
原則デジタル化すべきだ」と。

これまで文科省は
「デジタル教科書の使用は
各教科の授業時数の2分の1を超えない」
としていましたが、平井デジタル相は
これを一蹴しています。

IT時代を切り拓いた
アップルのスティーブジョブズは、
自分の子どもたちには
デジタル機器の使用時間を厳しく制限させ、
iPadをそばに置くこともしませんでした。

マイクロソフトのビルゲイツも
子どもが14歳になるまでは
スマホを与えていません。

Facebookの「いいね」機能を開発した
ジャスティン・ローゼスタインは、
「スマホの依存性はヘロインに匹敵する」
とも言っています。

米国の小児科医の専門誌
『Pediatrics(小児科学)』では、
普通に遊ぶ代わりに
タブレット端末やスマホを
長時間使っている子どもは、
のちのち算数や理論科目を学ぶために必要な
運動技能を習得できないと警告しています。

「子どもを遊ばせよう」という記事の中で、
米国小児学会は
「衝動をコントロールする能力を発達させ、
何かに注目を定めて
社会的に機能させるためには遊びが必要だ」
と指摘しています。

そして、子どもにとって重要なのは
「我慢できる力」
=「報酬を先延ばしにする能力」

なのです。

この能力は、
人生を左右されると言われるほど
大きな影響力をもちます。

脳は後ろから育つとされています。

衝動を抑制し、報酬を先延ばしにする
機能を持つ脳である前頭葉という部位は
25歳~30歳になるまでは
完全に発達しません。

10代ではまだまだ未熟です。

前頭葉を育てるには、
社会的な経験やその中での訓練が
必要なのです。

しかし、新しい刺激がすぐ手に入る
スマホをいつも携えていれば、
子どもは欲望の赴くままに刺激におぼれ、
どんどん退化してしまうのです。

子どもの置かれた環境は、
私たち大人が育った環境とは
まるで違います。

そのことをきちんと認識し、
子どもが育つ環境を
大人が整えていかなければなりません。