子育ての知恵ぶろぐ 第271回 子どもの○○○○○○を育てることが大切 PART1

子どもの○○○○○○を育てることが大切 PART1
2000年にノーベル経済学賞を受賞した
ジェームズ・ヘックマン氏は、
小学校に入る前の教育がその後の人生に
大きく左右することを実証しました。

その教育の内容は、IQのような「認知能力」
を高めることだけでなく、
忍耐力や感情コントロール力、共感性、
やる気などの「非認知能力」を高めること

ということを見出しました。

知能が高いからといって
社会に出て成功するわけではありません。

知能が高いのに、学力が高くない子
(アンダーアチーバー)もいますし、
逆に知能はそれほど高くないのに
学力が高い子(オーバーアチーバー)も
います。

勉強ができるかどうかにも、
知能以外の要因が大きく影響します。

それでは、子ども時代にどんな能力を
身につけておくべきなのでしょうか?

最近、コミュニケーション力の
不足によって人間関係に悩む若者が
増えています。

通常であれば引っかかる言葉ではないのに
引っかかったり、ムッとしたりします。

また、先輩や上司に仕事上の注意をされると
ひどく落ち込んでしまい
仕事が手につかなくなったりします。

逆ギレをしたり、裏で文句を言ったり、
挙句の果てにはパワハラと片付けてしまう
のです。

本人の成長にとっては
大きなマイナスとなりますし、
注意や叱責を糧に成長していける
タイプの人とは大きな差がついて
しまいます。

すべてが思い通りにいくような
人間関係なんてありませんし、
そんな人生もありません。

「叱って育てる」ことより
「ほめて育てる」方がいいというのが、
最近の教育の流行りです。

たしかに、「ほめて育てる」
「叱らない子育て」というのは
子どものやる気を育てるのには
素晴らしい方法でしょう。

しかし、そのようにして
叱られない子育てで育った子どもは、
果たして幸せな人生を送ることが
できるのでしょうか。

むやみに褒めることの弊害の存在を証明した
心理学者ムエラーとドゥウェックによる
実験があります。

その実験は、10歳~12歳の子どもたちに
簡単な知能テストのようなものを
やらせました。

簡単にできる内容で、テストの終了後に
すべての子どもたちに
優秀な成績だったことを伝えました。

その際、子どもたちを次の3つの条件に
振り分けました。

①こんなに成績が良いのはまさに
 「頭が良い証拠」だと言われる

②何も言われない

③こんなに成績が良いのは
 「一生懸命頑張ったから」だと言われる

そのあと、次にやってもらう
課題について説明し、
どちらの課題をやりたいかを選ばせました。

一つは、あまり難しくなくて
簡単に高得点がとれ、自分の頭の良さを
示すことが容易な課題、
もう一つは難しくて簡単には解けないが、
チャレンジしがいのある課題です。

その結果は、
①「頭の良さ」を褒められた子は
67%が前者の簡単な課題を選び、
②何も言われない子は
前者と後者が半々となり、
③「頑張り」を褒められた子は
前者の簡単な課題を選んだのはわずか8%で、
残りの92%は後者の難しい課題を
選びました。

つまり、やたらに褒めればいい
ということではなく、
「褒める」にしてもコツがいる
ということなのです。

2007年に大阪市内の幼稚園教諭を
対象とした実施調査では、
「最近の園児の親を見ていて気になること」
という質問に対しては、
「過度に世話を焼く親が目立つ」
気になる65%、気にならない14%、
「とにかく甘やかす親が目立つ」
57%、19%、
「子どもをしつけるという自覚が
ない親が目立つ」47%、24%
となりました。

2016年の山形市の放課後児童クラブでの
調査でも
「甘やかす親が増えていると思う」
72%そうは思わない2.6%、
「きちんと叱れない親が多いように思う」
78.4%そう思わない6.5%
となっています。

2001年度の
「家庭の教育力再生に関する調査研究」
では、家庭の教育力が低下している理由の
1位は「子どもに対して過保護、
甘やかせすぎや過干渉の親の増加」
が66.7%でした。

2004年度版
「親が子どもにどのようなことを期待するか
を調べた国際調査」では、
「親の言うことを素直に聞く」ことを
期待する親はフランスで80.1%、
アメリカでも75.2%なのに対して
日本はわずか29.6%でした。

叱られたり注意されたりすると
落ち込んだり、逆ギレしたり、
諦めたりするストレス耐性の低い若者が
増えている背景には、
こうした自己コントロール能力を鍛える
機会が減っているという現実があります。

「過保護」や「過干渉」「甘やかし過ぎ」
が「子どもの生きていく力を奪う」のです。

「諦めずに頑張りぬく心」というのは、
言い換えれば「逆境に負けずに前向きに
人生を切り拓いていく心」です。

それを心理学では「レジリエンス」
と言います。

「レジリエンス」とは元々物理学で
「弾力」、生態学的には「復元力」を指し、
心理学では「回復力」「立ち直る力」
を言います。

この力を育てていくことが、
子どもの幸せを育む大元となるのです。