【幼児教育の豆知識】子どものスマホとの付き合い方はどうすればいい? 子どもにスマホを持たせるときの親子のルールについて徹底解説!
スマートフォンの所有率は中学2年生で80%以上、小学校低学年でも15%前後-。2023年の「モバイル社会研究所」の調査(※)ではこのような結果が出ています。年々低年齢化するスマホの所有開始時期。しかし、子どもにスマホを持たせることについては、不安がある保護者も少なくないでしょう。今回紹介する「スマホを持たせることのメリットやデメリット」、「スマホと上手に付き合うためのルール」などを参考に、子どもに与える最適な時期や使い方を考えてみてくださいね。
(※)モバイル社会白書Web版 2023年版「第7章 こどものICT利用」/
https://www.moba-ken.jp/whitepaper/wp23/chap7.html
子どもにスマホを持たせることのメリット、デメリットは?
スマホは便利な道具ですが、使い方によっては子どもに悪影響となってしまうケースも。まずは、そのメリット、デメリットをきちんと理解しておきましょう。
子どもにスマホを持たせるメリット
親がメリットを感じて子どもにスマホを持たせたいというケースも多くあります。
子どもの居場所がわかる、連絡が取れる
一番のメリットは子どもの居場所の把握、そしていざという時に連絡を取る手段になる、ということでしょう。特に一人で行動を始める小学校低学年の時期は、親としても不安なもの。スマホがあれば、GPS機能を利用して詳細に居場所を知ることができます。また、緊急で連絡したいときも電話やメールで簡単にやり取りができるので、親としては一つの安心材料になります。
学習に役立つ
スマホの機能を使えば、学習中にわからないこと、気になったこともすぐ調べられます。文字だけではなく実際に動画で見たり音を聞いたり、活用の仕方によって子どもの知識が広がり、興味を深めることができます。
早期からITリテラシーを高められる
スマホを利用した犯罪や詐欺、SNS利用者間のトラブルなどを頻繁に目にする現在。子どもにスマホを持たせて、早期からその危険性やウェブ上でのマナー、ルールを学ぶことで、将来的にトラブルを避けることができるようになるでしょう。
子どもにスマホを持たせるデメリット
一方で、懸念されるデメリットもいくつかあります。
体へ悪影響を及ぼす場合がある
大人もそうですが、スマホを毎日長時間見ていると視力の低下につながるといわれています。実際、近年視力が低い子どもが増えていますが、その原因はスマホでの動画視聴が増えたからと推測されているのです。
その他、スマホを見続けることによる運動不足や、夜遅くまでスマホを利用することで寝不足になるといった影響も考えられます。特に幼児期は体を動かして遊ぶことでさまざまな感覚や能力が発達していきます。それをスマホに置き換えてしまったら友だちとのふれあいも少なくなり、社会性やコミュニケーション能力に問題が出てくるかもしれません。
「スマホ依存症」になる危険性がある
毎日長時間にわたるスマホの利用は、「スマホ依存症」のリスクにつながることも。こども家庭庁の調査(※)によると、平日3時間以上インターネットを使用している小学生は57.3%。中学生では71.8%、高校生では81.4%となっています。おそらく多くはスマホの利用時間と考えられ、一日に長時間画面を見続けている子どもが多くいるという実態が見えてきます。
スマホの動画などは子どもの脳に強い刺激を与えます。特に幼い子どもはさらなる刺激を求めて延々と見続けてしまうように。依存症になってしまうと、一日中スマホが手放せなくなり、生活にも支障をきたすようになります。
(※)「令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」/https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/c6f80239-e41b-4f3a-a2a4-ed37131895b6/23459837/20240329_policies_youth-kankyou_internet_research_results-etc_r05_02.pdf
SNSでトラブルが起こることも
スマホを持つと、多くの子どもはSNSを利用するようになります。近年、SNSを使ったいじめも多発しており、自分の子もそうしたことに関わり合う危険がある、と理解する必要があります。
また、ウェブを利用するうえでの注意点をよく理解しないまま使っていると、安易に個人情報をもらしてしまったり、知らない相手に写真を送ったり会う約束をしたりという危険につながるかもしれません。
スマホと上手に付き合うための5つの親子のルール
いざスマホを持たせるということになった場合、あらかじめ使い方のルールを決めておくのがおすすめです。利用時間の制限など、5つのポイントにしぼって紹介します。
1日の利用時間を決める
まずは、1日どの程度まで使っていいかの検討を。親が一方的に決めるのではなく、子どもと一緒に決めることで守ってもらいやすくなります。子どもの希望する時間が「長すぎる」と感じた場合は、長時間のスマホ利用が与えるリスクについてわかりやすく説明し、納得できるようにしてあげましょう。
食事中は触らせない
食卓にまでスマホを持ち込んでしまうと家族の会話がなくなってしまいます。食事時にはできれば別の部屋に置くなどして、家族全員がスマホを手放して食事を楽しむようにしましょう。
利用するアプリは親が確認、課金は自由にさせない
どのようなアプリを使うのかは、親がチェックを。各アプリには対象年齢があるので、子どもがそれ以下の場合は利用に注意が必要です。よく知らないアプリであればあらかじめ調べて、使っても問題がないかを確認しましょう。また、「子どもが知らないうちに100万円分課金していた」といったトラブルも目にします。ゲームなど課金が発生するアプリを使用する場合、子どもが自由に購入できないように設定で制限をしておきましょう。
フィルタリングサービス・ペアレンタルコントロールを活用する
フィルタリングサービス、ペアレンタルコントロールとは、悪影響を与える有害サイトを見せないようにしたり、スマホの利用時間や利用できるアプリを制限したりといった機能をあらかじめ設定しておくことです。中には居場所確認機能や課金制限、自撮り被害防止などの機能があるサービスもあります。日本では、未成年が使用するスマホについては携帯会社がフィルタリングサービスを提供することが義務化されています。
親自身がスマホ使いの見本となるよう心がける
親がいつまでもダラダラとスマホを見ていたり、ご飯中も手放さなかったりしたら、子どもも同じようにしたいと要求するでしょう。子どもに望む理想的なスマホの使い方を考えたなら、まずは親が実践することが大切です。
まとめ
スマホはいいか悪いかではなく、使い方が大切
メリットもデメリットもあるスマホですが、使い方によっては子どもの将来に役立つ力を伸ばす道具となります。子どもの性質や能力を見極め、親のサポートを受けながら自分で使い方のコントロールができるかどうかを考え、渡す時期を決定しましょう。
「スマホは親から借りている」という認識を持たせて
スマホを持たせることになったら、「あなたのスマホ」として渡すのではなく、「これは親が貸してあげているもの」ということを説明しておきます。子どもにとってメリットとなるように親が用意している、ということを伝えておけば、その後も親が管理することに対して抵抗は少ないでしょう。
子どもの成長に従って任せる範囲を広げつつ、親子で一緒によりよい使い方を考えていけるといいですね。

株式会社ヘーグル 理事長
30年以上にわたって、幼児期からの理想的な能力開発と学習環境を追求、独自に開発した「親と子の共育大学のプログラム」など、親子でともに成長できる子育て、教育メソッドは絶大なる人気を誇る。

【執筆者】逸見 浩督(へんみ ひろただ)
株式会社ヘーグル 理事長
30年以上にわたって、幼児期からの理想的な能力開発と学習環境を追求、独自に開発した「親と子の共育大学のプログラム」など、親子でともに成長できる子育て、教育メソッドは絶大なる人気を誇る。