AIが仕事や暮らしの
あらゆる場面に入り込み、
これまで人が担ってきた
多くの作業が機械に
置き換わりつつあります。
その反動のように、
いま米国を中心に、
現場で働く人々=ブルーカラーに
熱い視線が注がれています。
■ 現場で成功する
「ブルーカラーミリオネア」
が相次ぐ
現場の仕事で成功を
収めた人を指す
「ブルーカラーミリオネア」が、
米国で相次いで
生まれています。
Z世代では、
大学へ進学せずに
現場の仕事に就くことが
一つの流れになっており、
腰に下げた工具ベルトにちなんで
「ツールベルト世代」と
呼ばれているそうです。
一方で、事務やシステムなど
ホワイトカラーの分野では、
AIが仕事を代替する動きが
世界のテック企業で
先行しています。
アマゾンは昨年10月から
今年1月にかけてAIを導入し、
世界で約3万人を削減。
マイクロソフトも、
AI投資に伴う再編で
全従業員の約4%にあたる
約9,000人を削減する方針です。
こうしたリストラと並行して、
人材は現場職へ流れています。
さらに米国では、
技能職に一定水準以上の
賃金の支払いを義務づける
法律が整い、
適正な賃金が確保されました。
その結果、電気工事や
配管といった職種の賃金が
大きく上昇し、
人手不足とも相まって、
現場で働くことの価値が
改めて評価されています。
この流れをうまく捉えたのが、
年収10万ドル
(約1,600万円)を超える
ブルーカラーミリオネアたちです。
米経済誌フォーブスによると、
エレベーター・エスカレーターの
技術者の年収中央値は
日本円で約1,640万円、
送電線の設置・修理業者は
約1,420万円。
突き抜ければ、
ミリオネアの基準である100万ドル
(約1億6,000万円)も
現実の数字だといいます。
背景には、
大学の授業料の高騰があります。
大学の在籍者数が減る一方で、
職業訓練プログラムの
登録者は増加傾向にあり、
2023年は前年比16%増と
急伸しました。
履歴書作成支援サービスの
レジュメ・ビルダーが
昨年5月に行った調査では、
学士号を取得したZ世代のうち
約4割が、ブルーカラーまたは
専門技能職の道を選んでいます。
理由は「より将来性があるから」が
30%、「専攻分野の仕事が
見つからなかったから」が19%、
「収入が低かったから」が
16%でした。
記事は、高学歴で
ホワイトカラーに進めば安泰という
「学歴神話」が崩れつつあると
指摘しています。
■ 日本でも、人の流れは
「間違いなく」起こる
日本はどうでしょうか。
経済産業省が今年1月に公表した
「2040年の就業構造推計」は、
AIやロボットの普及によって
事務系を中心に
約440万人の余剰が生じる一方、
技術者などの専門人材は
約339万人不足すると
予測しています。
ホワイトカラーの
就職難を伴いながら、
ブルーカラーへの人材の流れが
日本でも起こると見ています。
すでに現場は売り手市場です。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」
(2026年4月分)では、
建築・土木・測量技術者が
4.98倍と、
人手不足を象徴する水準でした。
東京商工リサーチによれば、
昨年の建設業の倒産件数は
12年ぶりに2,000件を上回り、
過去10年で最多に。
仕事の受け手が減り、
8割が賃上げに
動いているといいます。
ただし、建設業では
二極化が急速に進んでいます。
再開発や住宅市場の好調で
増収増益の会社がある一方、
ホームページさえないような
昭和に取り残された会社では
倒産が相次いでいます。
ブルーカラーが
注目されているからといって、
すべての会社でミリオネアが
生まれるわけではなく、
会社の選び方は重要だと
記事は述べています。
■ AIデータセンター特需で、
空調・施工管理の人材は争奪戦
中小企業の事業承継に特化した
投資会社「NYC」の中塚庸仁社長
(ソフトバンクなどで
ベンチャー投資に携わり、
2022年3月に同社を設立。
昨年までに中小企業18社を
M&Aした実績を持つ)は、
同窓会で、ホワイトカラーよりも
地元の土木・建設で働く
友人のほうが稼いでおり、
現場職に転身した仲間も
いたと話します。
その中塚氏が注目するのが、
AIデータセンターの建設特需に伴う、
ブルーカラーの争奪戦です。
IT専門調査会社IDCジャパンは、
国内のデータセンターへの
建設投資が2028年に
1兆円を超えると予測しています。
土地の整備、建物の建設、
電気工事、データセンターの設置、
そして大型空調の組み込み。
これらはいずれも
ブルーカラーの仕事で、
なかでも空調や施工管理の人材は
猛烈に不足しているといいます。
データセンターの空調は
熱暴走を防ぐために
高度な管理が欠かせず、
管工事施工管理技士に加えて、
高圧ガス保安法に基づく
高圧ガス製造保安責任者という
国家資格も必要です。
工事の急増で、
有資格者は奪い合いの状態です。
■ ロボットに置き換えられない
技能が、最大の武器に
フィジカルAIやロボットが
進化しても、
入り組んだ地下室や猛暑の屋根裏で、
状況に応じてネジを締め分けるような
配管工の仕事はまだ代替できず、
ロボットが人間を超えるには
あと20〜30年はかかるでしょう。
物理的に代替できないという
性質こそが、
AIによって仕事が減る時代を
生き抜く最大の武器になります。
配管工と並んで手堅いのが、
電気工事士と施工管理技士です。
前者はインフラと
再生可能エネルギーの需要が
重なって引っ張りだこで、
後者は全国的な工事の増加により、
1人の求職者を7社以上で奪い合う
超売り手市場になっています。
引く手あまたの人材には、
大きく3つのタイプがあるといいます。
● ロボットに代替されない
特殊な技能の持ち主
● ロボットに動きを
教えられるなど、
ティーチングができる人材
● 現場の理屈を設計に
フィードバックできる人材
これらに共通するのは、
現場で培った技術をもとに
創意工夫する「考える力」です。
■ ヘーグルからのメッセージ|
新しい時代の子育てのために
「良い大学を出て、
大きな会社のホワイトカラーに」
という一本道が揺らぎ、
学歴の高さよりも「何ができるか」
「どう考えられるか」が
問われる時代です。
大切なのは、ホワイトかブルーか
という二択ではなく、
どの道を選んでも通用する力を、
子どものうちから
育てておくことではないでしょうか。
へーグルは、次の4つを
大切にしたいと考えます。
● 「考える力」
「創意工夫する力」を育てる。
記事が挙げた3つのタイプの
共通点です。
答えを先に与えるのではなく、
「どうしたらうまくいくかな?」と
問いかけ、お子さま自身が試し、
失敗し、工夫する時間を
たっぷり持たせてあげてください。
● 手と五感を使った実体験を
大切にする。
AIが得意なのは
画面の中の処理です。
実物に触れ、手を動かし、
感じ取る体験
(ものづくり、自然とのふれあい、
家のお手伝い)は、
現場で通用する力の
入り口になります。
● 進路や職業の選択肢を狭めない。
学歴や職業に上下をつけず、
どんな仕事も社会を支える
大切なものだと、
家庭で自然に話題に
してみてください。
現場の仕事への敬意は、
お子さまの視野を広げます。
● イメージする力・
直観力・集中力を土台にする。
へーグルが大切にしてきた
右脳を育てる学びで培う、
頭の中で思い描く力、
状況をつかむ力、
粘り強く集中する力は、
どんな分野でも創意工夫を
支える土台になると
私たちは考えています。
今日からできる、
ご家庭での声かけの例
● 「どうしたらうまくいくと思う?」
● 「やってみて、どうだった?
次はどう変えてみる?」
● 「このお仕事は、
だれの役に立っているのかな?」
変化の速い時代だからこそ、
お子さまの「いま」の好奇心と
得意なことを丁寧に見つめ、
伸ばしていきましょう。
そして、自分は勉強できるから
偉いんだとか、
いい大学にいけないと
あのような仕事にしか
つけないんだ、
などといった変なプライドや
偏見を持った子どもに
育てるのはやめましょう。
そのような偏見の意識が、
これからの子どもの人生の
可能性を狭めてしまうことも
あります。





